遠き山に日は落ちて、俺は家庭を持ちたがる
セクシャリティを自認してから十年以上、結婚のけの字も考えたことがなかった。
自分には関係ないものだと思っていた。
なのにこのごろ結婚を考えはじめたのには、理由がいろいろある。
たぶん「遠き山に日は落ちて」のせいだと思う。
独立して家を引っ越したんだけど、その地域、毎日夕方18時になると音楽が流れるんだよ。
「遠き山に日は落ちて」「家路」「新世界より」……いろんな名前があるけれど、みんな知ってる曲だろう。
子供のころ、家に帰る時間になると鳴ってた曲。
ドボルザーク 「新世界より」 家路 From the New World - Largo.wmv
僕はこの曲を聴くと、「帰らなきゃ!」って気になってしまう。
子供のころ、毎日ランドセルを背負って、家に帰ってた感覚を思いだす。
でも僕はもう大人で、帰るべき家はない。
実家はあるけれど、大人になった僕にはちょっとちがうものだ。
帰るべきところ、自分でつくらなきゃなぁ。
家族を持ちたいなあ。
……そんな風に思いはじめてしまった。
なんてことしてくれるんだよドボルザーク。
一人で生きていけると思ってたのになぁ。